南極で採取され30年半にわたって冷凍保存されていたクマムシが解凍後に蘇生し、産卵もしたと国立極地研究所が発表した。クマムシは仮死状態になることで過酷な環境でも生き延びることが知られているが、30年以上からの蘇生は最長生存記録を大きく上回り、長期生存のメカニズム解明への貢献が期待できるとしている。 蘇生した卵からの系統の個体。緑色は餌のクロレラ。右の線が長さ0.1ミリ=Tsujimoto M. et al. Cryobiology, 2015 蘇生したクマムシは1983年11月に昭和基地周辺で、分類学研究用に採取されたコケとともにマイナス20度で冷凍保存されていた。2014年にコケを解凍して給水し、2個体と卵1つが蘇生。1個体は死んだが、もう1個体は2週間かかって通常状態に戻った。この1個体と卵からふ化した個体はその後複数の繁殖もした。 微少な生物であるクマムシは「乾眠」と呼ぶ仮死状態になる