→紀伊國屋書店で購入 学生時代に読んで感銘を受けた本である。本書は1952年に初版が出て以来、半世紀以上にわたって版を重ねているロングセラーであり、簡にして要を得た哲学史として定評がある。今回、書店で健在なことを発見し、おおと声をあげた。 本書は1961年と1975年に改訂されているが、1975年改訂では冒頭に「哲学史とは何か」という序論が追加されている。わたしは熊野純彦氏の『西洋哲学史』の感想を書いた際、哲学には発展などということがあるのかという疑問を述べたが、本書の序論はまさにこの問題をあつかっているのである。 岩崎はヘーゲルによってはじめて哲学史は学問になったと認める一方、絶対精神の展開というヘーゲル流の形而上学を捨て去っても「なおかつ哲学史のうちに哲学思想の展開を見ることができるのみならず、むしろそう見るべきではないかと考える」と断言する。核心部分を引けばこうである。 哲学者自身が