現在、大阪市立大学法学部で政治学の集中講義を行なっているところだが、その大阪市大の図書館で、『新保守主義の作用』や『サッチャリズムの世紀 新版』(いずれも勁草書房)の著書で有名な、豊永郁子・早稲田大学教授(比較政治学)の書かれた「小沢一郎論--前衛主義と責任倫理のあいだ」という論文が、『世界』(岩波書店)の2010年7月号と8月号とに分けて掲載されているのを見つけたので、図書館内でそのコピーをとり、複写申込書を図書館のカウンターに提出した後、帰りの電車の中でそれを読んだところ、小沢一郎という政治家がいかなる思想の持ち主なのかが非常によく分かった。 その論文で豊永教授は、昨秋放映されたNHKスペシャル「証言ドキュメント--永田町・権力の興亡1993-2009」(書籍化されたものが2010年3月に刊行)、および小沢一郎氏の著書『日本改造計画』(講談社、1993年)にもとづき、小沢氏の思想につい