映画の中のジャズ、ジャズの中の映画 Text by 上島春彦 第20回 クリント・イーストウッド映画と「趣味としての」ジャズ その5 アルバム『バード』(88)“Bird Original Motion Picture Soundtrack”は、前作『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(86)で「イーストウッド人脈」に復帰したレニー・ニーハウスが自身の音楽的バックグラウンドを駆使して作り上げたサントラ盤の傑作である。彼のバックグラウンドとは即ちジャズ、それもビバップ・ジャズということになる。このサントラ企画にイーストウッドと共にプロデューサーとして関わったニーハウスは、アルバムにも一文を寄せている。少しだけ引用する。 私に人生最高の贈り物がやってきたのは、ワーナー・ブラザーズ・スタジオのダビングルームで、映画『勝利の戦場』に取り組んでいた時だった。部屋に入ってきたクリントは小脇