前回のおさらい rasiel9713.hatenablog.com 前回は、綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、2019年)の書評を執筆したが、今回はそれを前提として、標題の「異形とポリティカル・コレクトネス」の問題に入っていく。とはいえ、以下で直截的に扱うのはハンセン病や水俣病といった疾病に対する差別の問題ではなく、日本のアニメ・漫画における表象の問題である。その入口として、私が明示的に「ポリティカル・コレクトネス」という単語を初めて用いた劇評、すなわち『声ヲタグランプリ』18号(2017年12月)所収の『セントールの悩み』評を、綿野のプリズムを通じて読み直し、自己批判した上で内容のアップデートを行う。 まずは、約2年前に執筆した劇評をそのまま掲載するので、お読みいただきたい。 『セントールの悩み』について(2017年12月寄稿) 声優に「これは深い作品だ」と錯覚