トロントのウォーターフロント・スクールでは、3年生の子どもたちが担任のステイシー先生と輪になって座り、ゲストの先生を待っている。オフィーリア先生が到着した。お母さんが肩からかけた抱っこ紐に納まってぐっすり眠っている。小さな先生は生後9か月。この学校を訪れるのはもう何度目かになる。自分の気持を認識して表現したり、一人ひとりの性格の違いを理解したりする術や、成長の過程、母親のカリンと愛情あふれる関係を築いている様子などを、子どもたちに教えにやって来るのだ。Roots of Empathy (以下「共感教育」)プログラムのインストラクター、カトリーナ・ヒューズさんが傍らにいて、話し合いを進めていく。 「こんにちは、オフィーリア。気分はどう?」子どもたちが歓迎の歌を歌うと、オフィーリアはゆっくりと目を覚ました。オフィーリアは口をへの字に曲げかけたが、お母さんに優しくゆすられて、子どもたちを見まわ