社会科学の役割は「見晴らしのいい丘」 語り手:鶴光太郎 経済産業研究所上席研究員 聞き手:大西健、成田悠輔(VCASI研究助手) 鶴光太郎氏(東京財団仮想制度研究所(VCASI)フェロー、経済産業研究所上席研究員)は、経済企画庁(当時)を皮切りに、OECD、日本銀行でのエコノミスト経験を経て現在は経済産業研究所で比較制度分析や経済システム分析、コーポレートガバナンスなどの分野で研究を行っている。本インタビューでは、鶴氏がこれまで政策現場そしてアカデミアにおける研究から見てきた「制度」への認識や課題、社会システムのあり方、さらにはVCASIと今後の政策研究の可能性についてお話をうかがった。 大学の数学科を卒業して経済企画庁に入庁したが(1984年)、当時急務だったのは貿易摩擦問題をどう考えるかということ。3年目に海外調査の部署でアメリカの経済分析を担当したが、為替レートや貿易収支についての理