2016年1月5日、フランスの作曲家で指揮者であるピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez、1925ー2016)が他界した。ブーレーズといえば、ルイジ・ノーノ、カールハインツ・シュトックハウゼンらと共に、20世紀、第二次大戦後の現代音楽を代表する作曲家として、また、近年は、クラシック音楽ファンであれば誰もが知っている指揮者出会った。そして、卓越した分析、「オペラ座を破壊せよ」といった、時に過激な発言による評論活動や、教育者として多くの若い才能ある音楽家にチャンスを与え、新しい音楽を探求し創作する場としてIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)やアンサンブル・アンテルコンタンポランの創設を主導する政治力も合わせ持つなど、作曲家に収まらない卓越した才能を持って、新しい音楽の創作の場を牽引し続けた音楽家であった。 『ル・マルトー・サン・メートル( 主なき槌)』は、1953年から1955年