正面の空き地が、「石舟閣」の跡 じいちゃんの四十九日法要。父方の故郷であり、栗原家の墓地がある武蔵五日市に行ってきた。 うちの家系は、かつて秋川の河畔で「石舟閣」という旅館を営んでいた。昭和2年創業の高級割烹旅館で、戦前は文人や官僚、軍部高官らが利用する、隠れ宿だったらしい。戦時中には東条英機などの政府高官・陸軍幹部がたびたび密議の場所として利用し、「夜の大本営」と言われたそうだ。 子供の頃は、夏休みになると家族や親戚と来て、石舟閣前の河原で川遊びを楽しんだものである。じいちゃんは鮎の友釣りが趣味だったが、家族で来たときは手軽なウグイの脈釣りを楽しんでいた。 長らく遠縁の親戚が経営していた「石舟閣」だったが、時代の流れとともにその役割を終え、五年ほど前に閉館した。日本庭園を配した趣ある建物は全て取り壊され、今はほとんど更地になっている。 法要の前に、時間があったので石舟閣跡を訪れてみた。子