例えば、電気の物語。 昔の物理学者はあの得体の知れない、目にも見えないパチパチものについて一生懸命想像を膨らませた。なんなんだ、あの空から振ってくる巨大な光の柱は?パンを齧りながら、散歩しながら、他の学者と話し合った。夜なのに雷があるとあんなに明るくなる。もしかしたらあれで街を明るく灯せるようになるかもしれない。当時は夢物語だった。でも彼らはお話だけでは終わらせなかった。例えば「冬に鉄製のドアノブを握るとパチパチする」といった電気に関連する事象を見つけ、少しずつではあるが、具体的に自然界のルールを理解していった。パズルが組合わさっていくようだった。興奮した。なんと、事実の羅列を数字で具体的に表していくと、多くの事象が同じ式として理解できた。雷や静電気など、何の関連もなさそうな事象に、共通のルールが存在している事が不思議だった。あたかも神がこの世界を、あるルールに基づいて作り上げたかのように