平日の午前11時。東京・日本橋の三越本店前に横付けされたワインレッドの大型バスに、中高年の男女が次々と乗り込む。車体には金文字で「MITSUKOSHI」と書かれ、高級感が漂う。 三越旅行部は、華道家・假屋崎(かりやざき)省吾氏の自宅を訪問するバスツアーや、有名日本画家の私邸の庭を特別見学する旅行ツアーなどを企画し、販売する商品の9割以上は、三越でしか体験できないオリジナル企画だ。 価格は日帰りバスツアーで1万5000円以上するが、中高年の富裕層を中心に、支持を得ている。 日帰りバスツアーで、サミット(主要国首脳会議)総料理長を務めた有名シェフの店でフランス料理を味わい、人気ミュージカルを鑑賞した高崎市の主婦(62)は「満足感が違う。食事もいいし、非日常を味わえます」と笑顔でバスを降りた。 金融危機が直撃した2008年下期でも、三越旅行部の個人向け国内・海外旅行の売上高は前年