サラリーマンだったら誰もが経験する満員電車。東京圏における通勤時間は、ドア toドアで1時間とされている。東京圏では、自宅から駅までと駅から会社までの所要時間は合計で各15分ほどなので、電車に揺られているのは約45分。ホームでの電車待ち時間を5分、通勤・退勤の往復だから×2とすれば、東京圏のサラリーマンが通勤電車に費やしている時間は、一日2時間にも達する。 『 通勤電車のはなし-東京・大阪、快適通勤のために 』 著者:佐藤信之 出版社:中央公論新社 発売日:2017年5月18日 満員電車が社会的問題として浮上するのは、まだ世間にサラリーマンという企業勤め人が浸透する以前からだ。物理学者の寺田寅彦は1922(大正11)年に東京市内の朝・夕のラッシュアワーを考察する『電車の混雑について』という論文を発表。その論文からも、大正時代から通勤電車が混雑を極めていたことがわかる。 そして、戦後にサラリ