掲載『10+1』 No.50 (Tokyo Metabolism 2010/50 Years After 1960, 2008年03月30日発行) pp.37-39 すべてがリアクションであるようなダンス これまで「タスク」「ゲーム」と、一般にひとがダンスなるものについて抱くイメージからはほど遠いキーワードをとりあげて、今日的な「もうひとつのダンス」の在処を探ってきた。言い換えればそれは、米国のジャドソン教会派を中心とする一九六〇年代のアヴァンギャルドなダンスのムーブメントへと立ち戻り、さらにそこに示されたアイディアを現在のさまざまな身体表現と照らし合わせてみる、という試みだった。振り付けとは、一般にそう思われているように観客に美的なイリュージョンを提供するための理念型であるだけではなく、むしろイリュージョンを最少にし、その代わり、いまここで生きて働く身体の状態へ観客の注意を喚起するための