ブックマーク / wedge.ismedia.jp (36)

  • 酒鬼薔薇事件、元少年Aの出版 サムの息子法の過去と現在を考える

    マーティン・スコセッシ監督の名作『グッドフェローズ』は、映画ファンなら誰もが知っている作品だろう。貧しい街で育ち子どもの頃からマフィアに憧れていた男が、ボスに見込まれ組織のメンバーなったが、暴力と裏切りの世界のなかで次第に追い詰められていく半生を描いた作品である。惜しくもアカデミー賞の作品賞は逃したが、いまや伝説の名作と言っていいだろう。 この映画の冒頭のクレジットタイトルに「この映画は実話(true story)に基づいている」と出てくる。この映画の下敷きになったのが、ニコラス・ピレッジ『グッドフェローズ』(徳間文庫・1990年)〔原題 ”Wiseguy: Life in a Mafia Family”〕である。 このは、組織を抜け連邦証人保護プログラムの保護下にあったヘンリー・ヒルに対して、ピレッジが300時間に及ぶインタビューを行い、1冊のに仕上げたものである。しかし、もし出版前

    酒鬼薔薇事件、元少年Aの出版 サムの息子法の過去と現在を考える
  • 米の中国分析のベテランが告白 「自分の対中認識は間違っていた」

    米ハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリー所長が、今年2月発刊の著書“The Hundred-Year Marathon – China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower”において、中国は、2049年までに米国に代わって世界の支配国になることを目指している、と述べています。 すなわち、米国は、中国を支援し続けていけば、中国が民主的で平和な国家になり、地域や世界を支配しようなどと考えないだろうと想定していたが、完全な誤りであった。我々は、中国内の強硬派の力を過小評価していた。強硬派は、中国建国100年の2049年までに経済、軍事、政治のすべての面で世界のリーダーになるとの計画(100年のマラソン)を有し、毛沢東に始まる歴代の政治指導者に助言することで、建国当初からそれを実施に移していたのだ。強硬派は

    米の中国分析のベテランが告白 「自分の対中認識は間違っていた」
  • イスラモフォビアとフランス流「自由原理主義」の疲弊

    今年、1月11日。1月7日に起きたシャルリー・エブド紙襲撃に始まる一連のテロ事件を受け、370万人という戦後最大のデモがフランス全土で行われた。そして、13日。今度は事件をうけて招集された臨時議会で、バルス首相の1時間にわたる演説に先立ち「ラ・マルセイエーズ」が大斉唱された。バルスは内務大臣時代にイスラム教徒(ムスリム)とロマ(通称ジプシー)の排斥で名をあげた社会党の議員。仏革命時に作られた国歌ラ・マルセイエーズが議会で斉唱されるのは、1918年に第1次大戦でフランスが勝利して以来、初めてのことである。 演説の中で首相は、「我々はテロに対する、イスラム原理主義に対する、急進的なイスラム勢力に対する戦争に入った」と述べ、「フランス版愛国者法(パトリオット・アクト)」の内容を8日以内に検討すると発表した。同議会ではイスラム国(ISIL)空爆継続を可決した他、翌14日には、仏海軍の主力空母「シャ

    イスラモフォビアとフランス流「自由原理主義」の疲弊
  • それは「東京」でなければいけないのか?

    それは「東京」でなければいけないのか? 「百年の計」で地方消滅に立ち向かう(前篇) 増田寛也×飯田泰之 昨年末の衆院解散総選挙により、「第2期」を迎えることになった安倍政権によるアベノミクス。その目玉として掲げられるローカルアベノミクス=地方創生の理論的支柱となっているのが、元岩手県知事で日創成会議座長を務める増田寛也氏だ。その著書『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』(中公新書)は「このままでは896の自治体が消滅しかねない」と訴えかけ、大きな衝撃とさまざまな議論を呼んでいる。 「消滅」の真意や東京一極集中の是非、にわかにクローズアップされてきたコンパクトシティ構想の実現可能性について、エコノミストの飯田泰之氏が聞く。 異なる「地方」観と異なる政策が必要だ 飯田:ご著書の『地方消滅』については類書や批判が書店店頭に溢れていて、もはやひとつのジャンルになってしまった感さえあります。こ

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  • 北大生支援の元教授・中田考氏が語る「イスラム国」

    「イスラム国」に戦闘員として渡航計画を企てていたとして、10月6日に北海道大学の男子学生が警視庁公安部から事情聴取を受け、東京都杉並区の宿泊先などの家宅捜索を受けた。小誌は、この学生の渡航支援を行ったとして、同じく事情聴取と家宅捜索を受けた中田考氏に9月24日の段階で接触していた。9月に現地を訪れたばかりの中田氏が語る「イスラム国」とは――。 Wedge編集部(以下、――)なぜ「イスラム国」へ行ったのか。 中田 考(なかた・こう)氏 カリフメディアミクス代表取締役社長、同志社大学高等研究教育機構客員教授、イスラム学者(c)Takashi Suga 中田考氏(以下、中田)9月上旬に「イスラム国」に招かれ、シリア国内の彼らが支配する地域へ行ってきた。「(編集部注:8月にシリアでイスラム国に拘束されたとみられる)湯川遥菜氏の裁判をしたい。公正に裁きたいと思うのだが、英語も通じず、話にならないので

    北大生支援の元教授・中田考氏が語る「イスラム国」
  • 街を助けつつ、街に頼らない 地方で「面白いこと」をするために

    街を助けつつ、街に頼らない 地方で「面白いこと」をするために 地域活性化の現実を見よ(4)木下斉×飯田泰之 (全4回) *前回までの記事はこちらから 何人いれば都市は維持可能か 飯田:人が住む地域を広げる必要はなくなってしまっています。むしろ小さくしていかないといけない。イノベーションに必要なのは、人の数と密度なんですね。 都市における人口の最適規模は、財政学の分野では盛んに研究されていますが、行政のコスト面で見た効率がもっとも向上するのはだいたい20万人前後なんだそうです。ただ、この数字はビジネス面からは過少だと僕は思います。もう一回り大きい30万人が、ひとつのラインだと思っています。 ただしそれは、エリアを大きくして無理矢理30万人規模の自治体を作れということではありません。DID地域に人口の7~8割が居住している30万人都市※であることが必要なのではないかと思います。 ※30万人都市

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  • 迷走するコンパクトシティ 維持費と借金が地方を苦しめる

    *前回までの記事はこちらから 地方のリーダーシップは「絶滅の危機」にある 飯田:地方の問題だけでなく、国政レベルでもしきりに言われるのが「リーダーシップが求められる」という意見です。でも、民主的な状況でのリーダーシップ待望論は、根的な矛盾を抱えています。 もっと簡単な状況は、その地域に権力者がいて、その人さえ口説けばなんとかなるというものです。『農業で稼ぐ経済学』(浅川芳裕との共著、PHP研究所)でもお話ししたことですが、「豪農」が名家として残っている地域では、農業改革ができる。庄屋や名主の家が没落していなくて、かつ、地元で仕事をしているのであれば、何をやるにも話は早いということですね。 木下:たしかに温泉街でプロジェクトをやったときも、代々有力者の家系でなおかつ元町長という方が「やるぞ!」と声をかけてくださったら、あっという間に進んだことがありました。 飯田:リーダーシップという言葉だ

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  • 「みんなと同じ」B級グルメもゆるキャラも限界 「競争しない」社会に向かう地方

    「みんなと同じ」B級グルメもゆるキャラも限界 「競争しない」社会に向かう地方 地域活性化の現実を見よ(2)木下斉×飯田泰之 (全4回) *第1回 はこちら 限界集落問題と「まちおこし」は別の問題 飯田:地域活性化についての議論には、根的な混乱があるように感じます。ひとつは限界集落問題と、村落、中小都市の問題と、中核市から県庁所在地クラスの問題が、混同されてしまっているという点です。 木下:地方は規模など関係なく、全部「地方」としてカテゴライズされてしまいがちですよね。 飯田:そうなんです。三大都市圏か、あるいはせいぜい七大都市(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)圏だけを別枠に入れて、あとは十把一絡げに語られますよね。 僕は、限界集落問題はまちおこしとは切り離して考えるべきだと思います。それは別の問題です、と言わなければいけないと思う。 木下:限界集落を再生するのは、基的には不

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  • 交通網の発達で人もお金も地方から大都市へ

    人口減少の進行と地方経済の衰退を受けて、第二次安倍改造内閣が重要課題として掲げている「地方創生」。「官僚や有識者を地方に派遣し、地域の声を聞く」「補助金バラマキにはしない」などと政権内部からは勇ましい声が聞こえてくるが、具体像はまだ見えていない。 一方で、「創生」される側である地方に目を移すと、B級グルメやゆるキャラのブームが全国津々浦々まで浸透した感もあるものの、それによって当に地域の活性化は果たされたのか、疑問も多い。 まちをひとつの「会社」に見立てて経営を立て直す事業に携わる木下斉氏と、経済学の立場から都市と地方のあり方を模索する飯田泰之氏の対話は、戦後日と地方の関係を象徴する「新幹線」を問い直すことから始まった。 新幹線で地方は復活するのか? 木下:北陸新幹線が来年の春に開通します。地方には相変わらず新幹線待望論が根強いのですが、それが果たして地域活性化につながるのかというと、

    交通網の発達で人もお金も地方から大都市へ
  • なぜ日本のリベラルはリフレ政策が嫌いなのか

    リベラルはアベノミクスの第1の矢、大胆な金融緩和、リフレ政策が嫌いらしい。リベラルが、機密保護法や集団的自衛権に反対するのは、そのイデオロギーから言って当然だろうが、なぜリフレ政策に反対するのだろうか。 リフレ政策のお蔭で経済が拡大している。雇用が良くなっている。増えているのは非正規ばかりと言われていたが、正規の雇用も拡大している。雇用情勢が良くなっているのは大都市だけのことではない。有効求人倍率はどの都道府県でも上昇している。 人手不足のおかげで、これまで安い人件費で猛烈に人を使っていた企業も、考え直さざるを得ない状況になっている。そもそもブラック企業と評判の立った企業に人が集まらなくなっている。 経済の好転は自殺者も減らす 自殺者も減っている。景気が良くなれば自殺者も減るとは常識的な判断だが、これは厳密な実証分析でも支持されている。失業や倒産は当然、経済的困窮を通して自殺率を高め

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  • ISISはどのように力をつけてきたか

    6月14日付ニューヨーク・タイムズ紙で、Tim Arango同紙バグダット支局長及びKareem Fahim同紙中東担当記者が連名で記事を書き、ISISは長年に渡ってイスラム国家建設のための戦略を実行してきた、と報じています。 すなわち、たった数千人の兵士によるモスルとその南部の電撃的な制圧は、イラクとアメリカの政府を驚かせた。しかしこの成果は、実際のところ、ISISが公然と進めてきた何年にもわたる国家建設の戦略の実現である。 ISISは、イラクとシリアにカリフ国家を建設するという明確な目標を設定している。 指導者であるアブ・バクル・アル・バグダディの下で、ISISは宗教的な目標を達成しようとする純粋主義者となったが、一方で同盟を組んだり領土を獲得、譲渡したりすることには冷酷にプラグマティックであった。 2007年にISISが発行したパンフレットでは、普遍的価値観を説き、領土が絶対であると

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  • NYタイムズはなぜ、ウェブ課金に成功したか

    「これを見て、NYタイムズの宅配購読を止めることにしました」(NY在住ジャーナリスト・津山恵子氏) そう言って津山氏は、NYタイムズ電子版が表示されたiPadを指さす。これまで20年以上も紙の宅配購読を続けてきた津山氏は、2014年1月に全面リニューアルされたNYタイムズ電子版の魅力を次のように語る。 「レイアウトがすっきりしたことで、漫然とスワイプしても直感的に読みたい記事が見つけられるようになり、記事を読み落とす心配がなくなりました。記事中には、その内容を補強する動画やインフォグラフィックが見やすく配置され、さらに深い情報へとスムーズに遷移していけます。気になった記事はSaveのボタンを押せば、簡単にスクラップすることもできる。NYタイムズ電子版は、コンテンツのリッチさという点で紙をはるかに超えてしまいました」 NYタイムズ電子版のディレクターを務めるTony Brancato氏は、今

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  • ドワンゴ・川上量生会長 「受験料徴収」の真意 大量の“廃人”を生み出す「就活」

    厚生労働省呼び出し事件の真相 ──首都圏の新卒者がドワンゴの採用試験を受験するとき、受験料2525円を払うことになりましたね。 これは今の就活のあり方に、僕なりに思うことがあるから。2525円なら大きな負担にならないだろうときめました。受験料は全額、日学生支援機構に寄付します。 他の方法も考えましたが、「お金を取る」ことは、今の就活が、いかに問題が多いかを世に知らしめる、いちばんいい方法だなと思いました。「お金を取る」のは単純には理解されないだろうから、様々な意見が出ると思いました。それが狙いでした。 ──特に今の就活のどこに問題を感じますか。 「リクナビ」はひどいと思います。学生をたくさんの会社にエントリーさせようと煽っている。会員登録すると人気ランキング上位の会社に全部エントリーしてみましょう、と勧められる。「まとめてエントリー」ボタンを押すと上位50社とかにいきなりエントリーされる

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  • 私たちはショッピングモールに何を求めるのか

    昨年12月、イオンモール幕張新都心がオープンするなど、様々な場所につくられるショッピングセンター、ショッピングモール。実際に1990年以降多くの施設がつくられている。もはや私たちの日常生活の一部と化していると言っても過言ではないこれらの施設は、一体私たちの社会の何を映し出しているのか。また増加傾向のモールに私たちは何を欲望し、モール側は私たちに何を提供しようとしているのか。そんな疑問を『モール化する都市と社会 巨大商業施設論』(NTT出版)を昨年10月に上梓した社会学が専門の早稲田大学教授の若林幹夫氏、日女子大学専任講師の田中大介氏、明治大学専任講師の南後由和氏の3氏に聞いた。 ーーショッピングモールは増加していますし、日常的に利用している人も多いと思います。南後先生、田中先生は70年代生まれで、若林先生は60年代生まれということで、それらの施設について考える出発点が違うのかなとも思いま

    私たちはショッピングモールに何を求めるのか
  • Twitter犯罪自慢の構造 「内輪のルール」が優先される空間

    前回は米国家安全保障局(NSA)による極秘監視プログラム「PRISM」の存在を暴露したエドワード・スノーデン氏の一連の事件から、情報の自由と安全保障の問題について考察した(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2966)。現在スノーデン氏はロシアに一時的に亡命中であるが、同氏が告発した情報が新たに報じられており、彼を中心としたこれらの事件はまだまだ議論を呼ぶだろう。 ところで、内部告発によって世間の注目を浴びるのとは対照的に、日では自らの不法行為を自発的に自慢する若者が後を絶たない。彼らの中には法的に処罰される可能性のある者もいるが、そのような報道があってもなお同様の事件が頻発している。 彼らはなぜ自身の罪を自慢してしまうのか。それはインターネットの構造上の問題なのだろうか。今回は、集団主義的倫理とSNSの関係を検討したい。 犯罪自慢が多発 事の発端は20

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  • 私たちは無意識のうちに操られている? 情報社会における「アーキテクチャ型権力」とは

    前回はアノニマスの活動と、サイバー空間における国際法制定が如何に困難であるかを論じた(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2802を参照)。前回の連載で重要な点は、サイバー空間の諸技術が、人をアノニマスの活動に駆り立てるということであった。技術や制度があればこそ、人はそれまで自分が思ってもみなかった活動が実行可能であることに気づく。このことは逆にいえば、我々は自分が思うほどには自らの主体性や意志に敏感ではない、ということだ。 そこで今回は、サイバー空間において人をある意志や選択へ導く技術を、権力の問題を通して考察する。 実行までにコストがかかる“古典的”な権力 部下に命令して書類を作成させる。生徒に命令して宿題を課す。これら日常的な出来事として権力が上司から部下、先生から生徒へ行使されていることがわかる。アメリカ政治学者ロバート・A・ダール(1915~)

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  • アノニマスと権力 サイバー法制定における困難

    前回はウィキリークスを参照することで、一定の社会環境の中で形成される権力と、その可変性を論じた(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2690を参照)。リークツールの構築によってリークを容易にしたウィキリークスは、TwitterやFacebookをはじめとするSNS、またアサンジ自身がメディアに登場することで人々を動員し、権力行使を可能にした。だがその一方、権力を握ることで逆に彼らが権力体として認識されるという、権力バランスが孕む問題を論じた。 権力のバランスが崩れるとき、人は何をもってその権力を肯定・否定するのだろうか。通常は法がそれを判断するが、法そのものが信頼できない時、あるいは、そもそも法が存在しない場合はどうするのか。稿では、現在も活発な活動を続ける匿名抗議集団の「アノニマス」を参照することで、その巧みな大衆動員の手法や、違法行為に対する国際法の

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  • 資源管理なき 日本の漁師たちの悲痛な叫び 「乱獲を止められない」「食えない仕事を継がせる親はいない」  WEDGE Infinity(ウェッジ)

    2011年の世界の水産物総生産量が、FAO(国連糧農業機関)から発表されました(図1)(世界水産物生産量推移のグラフも参照)。数量は、前年比6%増の1億7,800万トンとなり、10年連続で過去最高を更新しています。漁業生産は4年ぶりに前年を上回り、養殖は1961年以来成長を続けています。 これが成長を続けている世界の水産業の実態です。国別では、漁業・養殖共に中国が首位。日は、漁業で前年の5位から7位へ、養殖で9位から12位に順位を落とし、水揚げ量は年々減少しています。そこには、残念ながら1972年から1988年までの実に17年間もの間世界最大の漁獲量を誇っていた姿はありません。 また、農林水産省によると2012年の漁業就業者数(岩手、宮城、福島の3県を除く)は、17万3,660人で、前年より4,210人(2.4%)減少しています。特に60歳以上の漁業者が占める割合は、前年より0.9%増

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  • 言葉は動物の“歌”から生まれた(前篇)

    ジュウシマツのラブソングにハダカデバネズミの挨拶、 人間の赤ちゃんの鳴き声、大人たちが話す言葉。 コミュニケーションの手立てである言葉の起源を探ることで、 小さな頃から追いかけてきた、こころの謎に迫る。 高井ジロル(以下、●印) 先生は、小鳥の鳴き声に文法を見出したんですよね。 岡ノ谷一夫(以下、「——」) 僕が研究対象にしているジュウシマツの鳴き声は、短く鳴く「地鳴き」と、2~数十秒続く「さえずり」(歌)に分けられるのですが、求愛のときにだけ歌うこの歌が複雑なオスほど、メスをひきつけることがわかっています。 ジュウシマツの歌う歌自体には意味はないけれど、ある音のかたまりを一定の順序で組み合わせるという構造は持っている。この構造を「歌文法」と呼んでいるんです。 ●鳥に文法があるなんて面白いですね。ところで、ジュウシマツのラブソングは、求愛行動のためだけなんですよね。僕は人間みたいに「いっし

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  • ナスカ地上絵 壮大な古代の謎に挑む研究者

    南米・ペルーのナスカ台地に描かれた巨大な地上絵群。これまで十分な調査がなされなかったその数や位置関係を世界で初めて明らかにし、正確な分布図作成を進めている。だれが何のために描いたのか、どんな意味が潜んでいるのか─。地道な調査と検証を積み重ね、壮大な古代の謎に挑む。 アンデスへの道 2012年10月30日。南米ペルー共和国ナスカ市で、「山形大学人文学部附属ナスカ研究所」の開所式が、ペルー文化省関係者、ナスカ市長、駐ペルー日大使、山形大学学長など約100人が出席して盛大に行われた。ナスカといえば、1994年に世界遺産に登録された「ナスカの地上絵」で世界中の人に知られている。一方、各国の研究者たちが撤退した後、現在、現地での調査研究を続けているのは日の山形大学「ナスカ地上絵プロジェクトチーム」だけということはあまり知られていない。 ナスカとほぼ地球の裏側にあたる日の山形大学でナスカ地上絵研

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