あれは夢だったのだろうか、気がつくと全身が汗でびっしょりと...... 京都の夏に至るつゆの湿気(うんき)・蒸し暑さはまた格別だ。そんな季節に狂わされ、どうやらこの世界と不自然な異界との境界をいつのまにかぼくは超えてしまったようだ。千年の欲望と争いが繰り返されてきたここ京都、特に土に埋められたその下では、人知のおよばぬ「もの」がいつ現れても不思議ではなかろう... 京都人、英語で言えばキョウトアイツには周知のことだが、地下鉄TZ線のエヌ駅から次の駅までは乗客がすこぶるすくない。 その夜も筋トレのあと、シャワーもそこそこ、あわててエヌ駅から六地蔵行きの地下鉄に乗り込んだのだが、ぼく以外の乗客はその車両にはだれもいない、ぼくが乗ったときには、誰もいない、はずだった。 ワカコではないが、プシューとドアがしまる。 ....え...!? となりに小学生ぐらいの男の子がうつむいて座っている。彼がいるこ