奈良市の奈良公園周辺でこの2年間、交通事故で死んだ鹿のうち、4割が中央分離帯に芝生を敷き詰めた道路で被害に遭っていたことが分かった。鹿が分離帯の芝生を食べる姿は日常的に目撃されており、保護団体などは分離帯の芝生が事故の一因との見方を強めている。道路を管理する奈良県は「鹿のために敷いた芝生なのに、“天敵”になっている可能性があるとは……」と困惑している。 奈良公園周辺の鹿は国の天然記念物で今年7月中旬現在、約1370頭が生息している。鹿の保護に取り組む財団法人「奈良の鹿愛護会」(奈良市)の調査では、10年7月からの2年間で死んだ計686頭のうち、病気(328頭)の次に多い死因が交通事故(187頭)だった。 事故が発生する場所は、奈良公園を含めた半径2〜3キロの範囲にわたっているが、40%にあたる75頭は主食となる芝生が敷設された中央分離帯のある道路で、車にひかれていた。早朝などに分離帯で芝生