「行きつけの焼き鳥屋が3月末に閉店する。食べおさめに行きませんか?」。インドネシアの首都ジャカルタで、駐在する日本人の友人から、こう誘われた。 この国で新型コロナウイルスが初めて確認されてから1年。感染は収束の兆しが見えず、政府の行動制限が続いて、外食産業は大きなダメージを受けている。この焼き鳥屋もしかり。記者もこの間、外食の機会とともに、知り合いと顔を合わせる時間が極端に減った。 インドネシアのホテル・レストラン協会によると、レストランの昨年の月間売り上げは、「コロナ以前」と比べて70%も減った。首都では昨年9月までに、約20万人の従業員が解雇された。 そんななかジャカルタで、ある和食がちょっとしたブームだと耳にした。火付け役は和食が大好きな31歳の女性。4年前、冷蔵庫のあり合わせで使った朝食を夫から「売れる」と言われたのがきっかけだった。 ジャカルタ南部の住宅街で戸建てを改装した料理販