シンカー:ネットの国内資金需要の拡大が核となり、乗数効果や信用創造のプロセスを経て、国内の金融資産が拡大し、マネーの拡大がデフレ完全脱却の力となることが確認できた。財政拡大などでネットの資金需要を増加させると、1年後に2.6倍の国内資産が生み出される。財政拡大への批判としてよくあるクラウディングアウトとマンデル・フレミング効果を考慮しても、結論は変わらないだろう。ネットの資金需要が消滅してしまっている現在、財政緊縮は異常であると言え、財政拡大に転じ、ネットの資金需要を復活・拡大させ、マネーの拡大に勢いをつけることが、デフレ完全脱却のために必要があろう。 国内の金融資産の変化をデータで推計 日本の内需低迷・デフレの長期化は、恒常的なプラスとなっている企業貯蓄率(デレバレッジ)に対して、マイナス(赤字)である財政収支が相殺している程度(成長を強く追及せず、安定だけを目指す政策)であり、企業貯蓄