失業率が下がっていることについて、「生産年齢人口の低下によるものだ」と主張する人がいる。だが、この議論は、「デフレの原因は人口減少だ」というのと同じくらい、間違った考え方である。 それは、生産年齢人口が増えていた以前の方が、失業率が低かったことからもすぐ分かる。こうしたトンデモない議論をする一部の識者や経済評論家は、統計データのリテラシーに欠けていると言わざるを得ない。 失業率と生産年齢人口の推移をみても、最近の失業率の低下は生産年齢人口の低下によるものだとの結論にはならない。まともに統計分析すれば、生産年齢人口はコンスタントに減少する一方、失業率は景気によって上下するので、傾向を除去して考えれば両者は無関係であることが分かる。 失業率は、労働力人口から就業者数を引いたものを労働力人口で除して定義される。労働力人口は15歳以上の人口で、生産年齢人口は15歳以上65歳までの人口であり、両者は