HOME > 山本謙三のコラム・オピニオン > 国債残高82兆円を「国家財政、破産の危機」と呼んだ時代があった ~財政規律はなぜ軽んじられるようになったか 昨年末、NHK衛星放送が、1982年に放映した特集番組「85歳の執念~行革の顔・土光敏夫」を再放送していた。第二次臨時行政調査会、いわゆる「土光臨調」の会長土光敏夫氏を追ったドキュメンタリーである。 番組は「国の借金、国債発行残高82兆円。国家財政はいま、破産の危機に瀕している」とのナレーションで始まる。 その後40年を経て、今年度末の国債発行残高は1000兆円に達する見込みにある。実に二桁違う。財政規律はいまや風前の灯にある。 財政規律確保への闘いと挫折 日本で初めて赤字国債が発行されたのは、75年度だった。その後、80年代の行財政改革を経て、90年度の当初予算でいったん赤字国債は発行ゼロに戻った。 しかし、長続きしなかった。94年度