視力を上げようと受けたレーシック手術で患者が相次いで視覚障害を負った事件で、警視庁は医師の逮捕に踏み切ることになった。捜査1課は6日、銀座眼科(閉鎖、東京都中央区)の溝口朝雄(ともお)元院長(49)の逮捕方針を決定。過失による医療事故での医療従事者の逮捕は異例となる。背景には、感染を認識しながら手術を止めなかった溝口元院長の故意に近い「悪質性」や、生活に重要な視覚を奪った「重大性」があったとみられる。 関係者の話などから、銀座眼科では手術時に手を消毒しなかったり、手術室に手洗い場がなかったりと不衛生が常態化していたことが判明。医療関係者は「人の命を預かる医師が感染対策を後回しにしたとすれば言語道断だ」と指摘する。 目に障害を負った患者の被害は深刻だ。激痛や治療に要した多額の出費。失明の恐怖と隣り合わせの日々を強いられる。「目の上に置いたガラスを割られるような激痛が24時間、数カ月も続いた。