自分の父は昭和の高度経済成長時代のど真ん中を生きた会社員だった。 そして筋金入りの転勤族でもあった。 小学校から帰宅すると家中に漂うガムテープの匂い。積み重なったダンボール箱。 それは悲しい日が来た事を意味していた。 仲良くなったクラスメイトや初恋だった女の子とお別れする時。 幼稚園と小学校だけで8回引っ越しをしている。 ほぼ毎年転校しているようなものだ。 このことはおそらく自分の人格形成にも大きく影響していると思う。 学期のはじまり。 教室の黒板に自分の名前が書かれている。 担任の先生が 「今日から一緒に勉強することになった○○君です。みんなよろしくね。」 初めて会うクラスメイトたち。 顔と名前を覚えるだけでも大変だ。 また最初からやり直しだ。 何度も転校を繰り返すと、小学校6年間で出会う人の総数は普通の小学生との比では無いくらいに多くなる。 しかも早く仲良くならないといけない、という焦