これでやっと中国が中国らしくなった。日本人の間から、そんな皮肉のひとつも聞こえてきそうだ。冷凍ギョーザ中毒事件をめぐり中国公安当局が「中国内で殺虫剤メタミドホスが混入された可能性は極めて低い」と発表したことである。 ▼発生直後、中国は予想以上に「真相究明」への意欲を見せた。2月初めには検疫総局の幹部が「日中関係の発展を望まない一部分子」の犯行の可能性をにおわせ、工場内部犯行説も浮上した。中国も情報を公開し、国際的責任を果たす国に変わったのではとの期待を抱かせた。 ▼ところが今回の発表では一切「真相」には触れない。しかも中国側の責任を全面的に否定する姿勢に転じた。国内の「政治事情」もあるのかもしれない。だがこれでは、都合の悪いことには一切口をつぐむという、これまでの中国に戻ったと言われても仕方あるまい。 ▼中国の「真相隠し」の最たるものは1971年の林彪事件だろう。毛沢東主席に次ぐ実力者だっ