ここ数年の間に読んだSFの中で、もっとも衝撃的だったものの一つがこれ。 あなたの人生の物語/テッド・チャン(ハヤカワ文庫SF, 2003) 「センス・オブ・ワンダー」という、久しく忘れていた言葉を思い出した。SF魂いまだ死せず、テッド・チャンという中国系アメリカ人の中に脈々と受け継がれていたのだった。 作品のほとんどすべてに共通するテーマは「認識の変容」。「理解」ではゲシュタルト認知力が、「ゼロで割る」では一つの数式が、「あなたの人生の物語」では異星人の言語が、「顔の美醜について」では美醜失認処置が、世界をまったく違ったものに変えてしまう。 特に、女性科学者が異星人の言語を習得することにより完璧な未来予知まで身につけてしまい、人生のあり方そのものを根本的に変えてしまう「あなたの人生の物語」は傑作。言語とは客観的現実を反映したもののではなく、逆に人間の認識する現実が言語を反映しているのだとい
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