(136−6) 2冊 江戸時代後期 万寿堂編 本書は、江戸時代に船で外国へ漂流した日本人の話や、日本へ漂着した異国人の話を集めたもの。いわゆる鎖国下の日本人にとっては、どれもたいへん珍奇な話だったでしょうが、中にはこんな不思議な姿の漂着船の記事もあります。 流れ着いたのは常陸国(ひたちのくに)(現茨城県)の原舎ヶ浜(はらしゃがはま)。若く身なりのよい美女が乗っていたが、言葉は通じず、どこの国の人かは不明。白木(しらき)の箱を大切そうに抱え、人を寄せ付けようとしない。船の中には謎の文字があった―とあります。 「小笠原越中守知行所着舟/常陸国原舎ヶ浜と申所へ/図之如くの異舟漂着致候/年頃十八九か二十才/くらいに相見へ少し/青白き顔色にて/眉毛赤黒く髪も同断/歯は至て白く唇紅ニ/手は少しぶとうなれと/つまはつれきれい/風俗至て宜しく/髪乱て長し/図のことくの/箱にいか成大切の/物や 入た