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ブックマーク / empirestar.hatenadiary.org (3)

  • 宇宙飛行士オモン・ラー - 書物の帝国 Annex

    ヴィクトル・ペレーヴィン『宇宙飛行士オモン・ラー』(群像社) ペレーヴィンの翻訳新刊。同じ群像社から出ている『チャパーエフと空虚』とは違うテイストなれど、なんとも言えない風味の幻想小説。社会主義というコンテクストの中で繰り広げられる不条理劇で、描写描写の反復により読み手に虚無感を綴りこんでいくのがよい。物語の舞台が社会主義国という設定のため、一つ一つのプロセスが官僚主義的で非効率なのだが、純粋なオモン・ラーは教官たちに「再教育」されるために、ますます使命に凝り固まり、ある種のイデオロギーをコアに持つことになる。また物語のところどころに旧ソビエト連邦で行われていたと思われる実験などを思わせるイメージを挿入したり、愚直なまでの反復やナンセンスで不連続的なカットを入れることにより、不条理さを強調する意図があったと思われる。そのため、つながりの悪い出来の悪いコメディ映画を見ているような感覚に囚われ

  • 天の筏 - 書物の帝国 Annex

    スティーヴン・バクスター『天の筏』(ハヤカワ文庫SF) バクスター長編は初。1993年に購入したで、あんまりSFに興味がなかったころに何となく買っていただったのでそのまま16年が経過(!)。いやぁ、年を取ってしまったわけですわ。というのは閑話休題。ラリイ・二ーヴンの『インテグラル・ツリー』(ハヤカワ文庫SF)+グレゴリー・ベンフォード『大いなる天上の河』(ハヤカワ文庫SF)、それと何となくだけれどもデイヴィッド・ジンデル『ありえざる都市』(ハヤカワ文庫SF)、そしてクラーク『都市と星』(ハヤカワ文庫SF)をミックスした感じの主人公の知性化SF。こういう知識を獲得して、成長していく設定のSFは大概はずれがないのだが、書は大当たり。とはいえ、先日読み終えたロバード・A・ハインライン『宇宙の孤児』(ハヤカワ文庫SF)は感想を書くのをためらってしまっているのだが、このも実はそういう系の話(

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  • 所有せざる人々 - 書物の帝国 Annex

    アーシュラ・K・ル・グィン『所有せざる人々』(ハヤカワ文庫SF) 早川の強い物語。の100冊に選定され、トールサイズ&新しいカバーとなったのをきっかけに読んでみる。ル・グィンは<ハイニッシュ・ユニバース>ものというシリーズを書いているのだが、このはそのシリーズに入る一冊。ヒューゴ/ネビュラ賞のダブルクラウンは納得の傑作。ル・グィンの作品は社会と個人のあり方をSFという準拠枠の中で、ヴィヴィットに描くことができるという意味でも稀有な才能を持つ作家で、社会構造・文化・慣習という制度の在り方について「ふたつの制度の違う文化が交流をしたときに、どのような<変化>がもたらされるのか」に焦点を当てて、物語を描いていく。今回は「所有せず、共有する」というオドー主義者たちの住まう厳しい気候の惑星アナレス出身の物理学者、シェヴェックが我々と同様「所有権」の概念が発達しているウラスへと旅立つ。 物語自体の社

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