経済産業省は26日、同省所管の官民ファンド「産業革新投資機構(JIC)」の新たな運営方針を公表した。産業競争力強化という「政策目的の実現」を前面に出し、政府の関与を強化する。年1億円を超す水準が批判された役員報酬については「他の公的機関を参照」すると明記し、おおむね3000万円前後の水準に抑制する見通しだ。経営の自由度が下がることになり、人選は難航が予想される。 JICは昨年9月、社長に元三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長の田中正明氏を迎え発足した。ところが、経産省が田中氏らに事前に示した最大1億円超の報酬水準に「高い」との批判が上がり、同省は事後撤回。経営への関与も強める構えを見せたため、反発した田中氏ら民間出身の取締役全9人が一斉に退陣し、事実上、機能停止する異例の事態となっている。