素晴らしい一冊だ。何度も頷きながら読み進めた。本書に込められたメッセージは、代々語り継ぎたくなるほどの大切さが感じられる。 もし私が本書のキャッチコピーを考えていいなら、こんな言葉を贈るだろう。 「わからない」に怯えるあなたに。 「わからない」は誰しも怖い。でも、そこから一歩踏み出した先には、心躍る世界が待っている。だからあなたも一緒に進んでいきましょう。そんな風に、本書は優しく包み込んでくれる。 概要 本書は「数学ガールの秘密ノート」シリーズの12作目だ。このシリーズは中高生でも楽しめる数学読み物がコンセプトではあるが、本作は別段数学に限らない物語である。その点は、『数学文章作法』が数学に限らない点と呼応しているだろう。広く、学びに関わる人が読み、得られることが多い内容だ。 まずぱっと思い出すのが、G. ポリアの『いかにして問題をとくか』(こちらも数学が題材だ)である。その本でポリアは、