「今まで生きてきたなかで一番幸せです」 十四才の岩崎恭子がバルセロナオリンピックの平泳ぎで金メダルを獲得したとき、「今まで生きてきたなかで一番幸せです」と発言したことは有名である。この発言の滑稽さはオリンピックで金メダルとることは確かに人生でも希有な体験だろうが、たいした人生経験がない14才の少女がつかう言葉ではないだろう、ということだ。 想像するに、彼女はこのような場面でこの発言が使われていたのはどこかで見ていて、思わず、喜びを表現する言葉としてでてきてしまったのだろう。子供の発言にはこのようなことが多々ある。「そんな発言どこでおぼえたんだ」というような、大人びた、そしてとってつけたような発言をする。 ここではヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」論が浮き彫りになる。言語ゲームは「規則に従う」ことであるという。これは言語の「規則」を学び、それに従って発言するということではなく、「規則」より
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