「生産性のない人には価値がない」と怒る人がいる。その人はなにに怒っているのか。臨床心理学者の東畑開人さんは、「私も精神科デイケア施設に勤めていた時、なにもすることがない時間はつらかった。だから、なにかしなければと焦る気持ちはわかります。しかし『ただ、いる、だけ』という時間がいかに人を支えているかを思うと、効率を求める人の苦しさもわかってくるんです」という――。 「生きることの基本的なところに触れている感覚」 なにもしていない人は「ダメな人」なのだろうか。臨床心理学者である東畑開人さんの著書『居るのはつらいよ』(医学書院)は、沖縄の精神科デイケア施設での物語を通して、人が「ただ、いる、だけ」の価値を伝えている。 本書の舞台となっているデイケアには、統合失調症、躁うつ病、発達障害、パーソナリティ障害などのさまざまな精神障害者が通っている。社会復帰が容易ではなく、そもそも社会に「いる」ことが難し
!["なにもしていない人はダメ"という人の苦しさ "効率と生産性の追求"が追い詰める](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/c8e4893d86fedf6fe1af3267dce58447a6ecf9fd/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fpresident.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F9%2Fe%2F1200wm%2Fimg_9e5abdeb3a6f60feae415925309f8578975269.jpg)