筆記具のルーツを探ると、それは万年筆に行き着きます。古代エジプトでは、葦竹の茎の端を斜めに切り落とし、先端の中心を縦に切り割った葦ペンと呼ばれるものに、煤煙をニカワで溶いたインクを付けて文字を書いていました。この葦竹の先端の形状は、何かに似ています。そう、万年筆です。やがて7世紀初頭には、鳥の羽を葦ペンと同様にカットした羽ペンが登場しました。音楽室に飾られたベートーベンが楽譜を書いている肖像画に羽ペンが描かれていることで、その姿形をご存知でしょう。やがて、先端がすぐに磨耗してしまう羽ペンに代わり、金属製のペン先が1700年代に登場し、改良を重ね現在に至っています。 日本では、国産第一号が明治41年に発売され、大正時代を迎えた頃には生産が追いつかないほどに需要が伸び、年間40万本を売り上げたほどです。しかし、昭和に入ると、筆記具の王者として君臨していた万年筆も機能性の高いボールペンやシャープ