ブックマーク / politas.jp (8)

  • 沖縄から貧困がなくならない、本当の、本当の理由(樋口耕太郎)|ポリタス 『沖縄県知事選2018』から考える

    アンパンとメロンパン 沖縄知事選挙を控えて、命題を提起しようと思う。 民意と選挙は似て非なる概念である。 民意と選挙は似て非なる概念である。 消費者がおにぎりをべたいと思って買い物に出かけても、店頭にアンパンとメロンパンしかなければ、どちらかを買う以外に空腹を満たす方法はない。どちらかを選んだからといって、それが消費者の望み(民意)だとは言えない。 沖縄では、2010年の知事選挙でアンパンが選ばれた。知事はアンパンが沖縄の民意だとして県内経済をアンパンで埋め尽くした。 Photo by 岩室佳 2014年の知事選挙では、一転してメロンパンが選ばれた。メロンパンを主張した知事はそれからほぼ4年間、メロンパン対策に県政の大半の資源を投下した。 Photo by 岩室佳 沖縄選挙区の特徴であり問題点は、常に「経済発展」か「基地撤去」か、という二者択一に論点が矮小化されてしまうことだ。選挙の

    沖縄から貧困がなくならない、本当の、本当の理由(樋口耕太郎)|ポリタス 『沖縄県知事選2018』から考える
  • 死者と生きる未来(高橋源一郎)|ポリタス 戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ

    これから書く文章の中には、読者のみなさんにとって、不愉快に感じられる箇所があるかもしれない。そのことをお許し願いたい。 わたしは大学を卒業していない。入学したが、わけあって大学を離れた。親や友人との交際も絶って、肉体労働をしながら、小さな小さな世界で生きた20代だった。 20代の終わり頃、腰を痛め、肉体労働もできなくなった。子とも別れ、養育費を送る身だったのに、金を稼ぐ術を失った。おまけに、ひどいギャンブル依存症になっていた。つてをたどり、やれる仕事は、他人にはいえないようなものでもやった。その一つが「女衒(ぜげん)」だった。簡単にいうなら、売春の斡旋である。 インターネットなどなかったから、三流夕刊紙に、内容をほのめかした広告を出す。男たちが電話をかけてきて、その男たちに女の子を紹介する。そんな、ヤクザがやっている商売の一番下っぱの仕事をした。わたしは、もっぱら新大久保のラブホテルに女

    死者と生きる未来(高橋源一郎)|ポリタス 戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ
  • 三つの寂しさと向き合う(平田オリザ)|ポリタス 戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ

    金子光晴の『寂しさの歌』の中に次のような一節があります。 遂にこの寂しい精神のうぶすなたちが、戦争をもってきたんだ。 君達のせゐじゃない。僕のせゐでは勿論ない。みんな寂しさがなせるわざなんだ。 寂しさが銃をかつがせ、寂しさの釣出しにあって、旗のなびく方へ、 母やをふりすててまで出発したのだ。 かざり職人も、洗濯屋も、手代たちも、学生も、 風にそよぐ民くさになって。 誰も彼も、区別はない。死ねばいゝと教へられたのだ。 ちんぴらで、小心で、好人物な人人は、「天皇」の名で、目先まっくらになって、腕白のようによろこびさわいで出ていった。 そしてこの長い詩は、以下のような一節で終わります。 僕、僕がいま、ほんたうに寂しがっている寂しさは、 この零落の方向とは反対に、 ひとりふみとゞまって、寂しさの根元をがつきとつきとめようとして、世界といっしょに歩いてゐるたった一人の意欲も僕のまわりに感じられない

    三つの寂しさと向き合う(平田オリザ)|ポリタス 戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ
  • この国を、複雑な幸福を守れる国にしたい(メレ山メレ子)|ポリタス 戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ

    働けば暮らしが良くなる――そんな時代が、わたしが生まれる少し前まではあったらしい。わたしにとってはカンブリア紀とほぼ同等の現実味ですが、われわれ30代を「夢がない」だの「覇気がない」だのと好き勝手に評してくださる年長者は、いまだその幻想の中に生きているようです。 少なくともわたしには、大きな野望と呼べるようなものはなく、会社員兼文筆家としてもそこそこ楽しく仕事をし、休日には旅行したりレイトショーで映画を観る暮らしがずっと続けばいいなと思っています。今やそれこそが、大きすぎる望みなのかもしれませんが。 映画といえば、先日3回目の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を観てきました。核戦争後の世界で、独裁者イモータン・ジョーが支配する砦を女戦士フュリオサとジョーのたち、そして巻きこまれ系の主人公マックスがぶっ潰すお話です。 ジョーは悪役というよりむしろ有能な為政者で、短命な兵士にも信仰を与え

    この国を、複雑な幸福を守れる国にしたい(メレ山メレ子)|ポリタス 戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ
  • 死して首相は愚痴を残す(谷川俊太郎)|ポリタス 戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ

    昨日まで私は日国の首相でしたが、今日はもう首相ではありません。と言っても辞任したわけではなくて、暗殺されたんです。で、今日は首相ではなく死人として、もとい詩人として、じゃなかった私人として一言申し上げます。 日清、日露、日支のあと、真珠湾奇襲で始まった戦争に負けてから70年ですか、生きてたら私はこの世に生まれて83年、戦後70年と生後83年、どっちの年月が大事かと言えば、これはもう言うまでもなく自分の生後83年のほうが大事。 で、83年生きた経験で言えば、いくら反対しても戦争はなくせない。首相在任中は私もいろいろきわどい手をうちましたが、あれは戦争したいがための手ではないつもり。新聞テレビや人には言えない内緒事がいっぱいあるんですよ、複雑な意見、いや利害の網の目に捕らえられて四苦八苦。 とは言え首相なんてやってると、つきあう相手がほとんどハイソの人たちです。どうしてもそっちに引っ張られる

    死して首相は愚痴を残す(谷川俊太郎)|ポリタス 戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ
  • 辺野古「泥沼化」で変質した沖縄と本土の関係(finalvent)|ポリタス 沖縄・辺野古――わたしたちと米軍基地問題

    ポリタスから「辺野古移設問題」について寄稿を依頼されたとき、私が最初に思ったのは、その呼称への微妙な違和感だった。間違いだと言いたいのではない。この問題をそのような呼称で受け止めることにすら難しい問題が含まれているだろうと思えたのである。そこであえて「辺野古移設問題」と括弧を付けてみた。重点の置き方としては「普天間飛行場移設問題」としてもよい。なお、私がこの問題に言及するのは、自著『考える生き方』でも述べたように、1994年から2002年まで沖縄県民として、その土着の親族構造の内部で暮らしたことに加え、縁があって一部ではあるが、政界、大学、メディア、自衛隊、米軍などの内情を直接伺う機会があったことによる。 「泥沼化」後にあり得る3つの可能性 まず、ポリタス編集部から問われた「泥沼化している普天間基地の辺野古移設問題についての今後の見通し」について答えたい。3つの可能性があると思われる。 1

    辺野古「泥沼化」で変質した沖縄と本土の関係(finalvent)|ポリタス 沖縄・辺野古――わたしたちと米軍基地問題
  • 沖縄の怒りを甘くみてはいけない(田原総一朗)|ポリタス 沖縄・辺野古――わたしたちと米軍基地問題

    2015年5月29日の深夜、沖縄から朝生をやった。テーマは沖縄の米軍普天間基地の辺野古移設問題。2012年の土復帰から40年目のときも沖縄から放送したが、沖縄では盛り上がるのに土では視聴率は振るわなかった。去年の沖縄県知事選のときにも書いたけれど、それは僕の番組だけじゃない。どこの局も、大体沖縄のことをやると視聴率が上がらないのだ。ひどい話だが、つまり土の人間は沖縄に興味がないのだ。だからこそ沖縄をテーマに議論し、沖縄のスタジオから放送することに意味があると思った。 放送前は、僕は沖縄の人がもっと土はなんだ、政府はなんだとボロクソに言うのではないかと思っていた。積していた怒りが激しい批判となり、収集がつかなくなるのではと予想していた。しかし実際に議論が始まるとそうならなかった。難しさを感じているうちに、パネリストの樋口耕太郎さんが、こう言った。 「沖縄の街は静かでしょう。それは車

    沖縄の怒りを甘くみてはいけない(田原総一朗)|ポリタス 沖縄・辺野古――わたしたちと米軍基地問題
  • 【総選挙2014】バカがばれるのを覚悟で選挙の話をする(雨宮まみ)|ポリタス 「総選挙」から考える日本の未来

    Photo by Nguyen Hung Vu(CC BY 2.0) 選挙の話をするのは怖い。選挙の話をするとバカがバレる。いかに日頃、政治について考えてないかバレてしまう。 バカがバレるのが恥ずかしいと思うなら勉強するしかないのだが、勉強して「自分はこういう政策を(候補者を、政党を)支持したいな」と思ったとして、それをSNS上でうっかり口にしようものなら、ガチの火の粉がふりかかってくる。 うちの両親は、投票に行ってもどこに/誰に投票したかは教えてくれない。夫婦でも話さないと決めていると言っていた。そこで意見のズレが判明すると、取り返しのつかないケンカになりかねないからだそうだ。 私が選挙に行こうと思うようになったのは、恥ずかしながら当に遅い。2011年以降である。 悲惨な出来事のあと、誰もが「生きていること」をただ、生きているだけでいいのだと認め、生きる希望を持つことの大切さを説いてい

    【総選挙2014】バカがばれるのを覚悟で選挙の話をする(雨宮まみ)|ポリタス 「総選挙」から考える日本の未来
  • 1