午後三時あたりになると見かける参拝者層。 中年男と、派手な女という組み合わせ。この組み合わせだけはこの時間帯に来る事が多い。 参拝者自体が少なくなる時間帯だけに余計に目立つのだが、当初はなぜこの組み合わせが多いのか理解できなかった。 不倫にしては人目を忍ぶ風でもなければ雰囲気に纏う後ろめたさもなく、あっけらかんとした軽さとノリはまるで若者のよう。厚い化粧。高いコート。 しばらく相当な人数を観察し続けた結果、ようやくこいつらは「同伴出勤前」なのだという事に気付いた。 で。こういう水商売風の女と中年男という組み合わせはまず神社来てもおみくじ引いて年甲斐もなくはしゃいだり境内フラついて帰るだけでこの時間帯に祈願なんて頼みに来ないのだが、珍しく祈願申し込みに来る事があった。 おや珍しい、どういう風の吹き回しだ、出勤時間は大丈夫なのかね、と思いつつ受付。 中年男「御祈願をお願いしたいのですが」 神主