2006年2月19日のブックマーク (1件)

  • 『アムネジア』稲生平太郎: Lエルトセヴン7 第2ステージ

    『アクアリウムの夜』の著者による15年ぶりの新作ということで、一部で注目(なのかな)の、稲生平太郎の『アムネジア』であるけれども、これがじつに読ませる、というか、読まされるといったほうが的確か。率直に、物語(の内部)に引き込まれたという有り体の感想を述べることこそが、あるいは作品の質をもっとも正確に捉まえるのかもしれない。80年代初頭、大阪、ちいさな編集プロダクションに勤める〈僕〉は、たまたま広げた新聞のなかに、そのとき携わっていた仕事との奇妙な関連を発見する。〈僕には何の関係もないことなのだから。こんなつまらないことが気にかかるなんて、どうかしているのかもしれない〉と思いながらも、しかし、なぜかそのことを調べられずにはいられない。やがて、見知らぬ男の死が、どうしてだろう、自分のアイデンティティと、深く、どこかで結びついている、そんな感じもしてくるのであった。 はっきりといえば、物語その