『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再びタッグを組み、グラスゴーの作家アラスター・グレイによる小説を映画化した『哀れなるものたち』。自ら命を絶つも、天才外科医の手で生まれたての女性として蘇生したベラの成長物語というファンタジー作品ながら、彼女の探究の旅は現実と地続きだ。広い世界を知り、自らの知的欲求やセクシュアリティを追究していく彼女の姿が、現代の観客に手渡すものとは。映画文筆家の児玉美月がレビューする。 ※本記事には映画『哀れなるものたち』本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承ください。 2023年、グレタ・ガーウィグによる『バービー』が世界興行収入10億ドルを超え、単独女性監督作品として史上初となる記録を樹立した。ヨルゴス・ランティモスによる新作『哀れなるものたち』は、ルックや設定、時代や国などあらゆる要素が違うにもかかわらず多くを共有す