前回のこの連載原稿が掲載された1月28日金曜日、日本時間では夕方にあたる時間帯、イスラムの週間行事では最も盛大な、モスクでの「金曜集会」が終わったあと、誰が誘うともなく、集まった人々がデモ行進に連なって、「エジプト騒乱」が始まった。 本コラムのリリース時点でも、ムバラク政権の退陣時期について米国を中心とする大国とエジプト政府との熾烈な交渉が、民衆間の衝突と並行して進んでいる。 エジプトの問題を「革命」とか「レボリューション」などと表記するものを目にするが、こうしたことには慎重であるべきだと思う。 エジプト・アラブ共和国は国連加盟国でホスニー・ムバラク大統領はその国家元首だ。30年にわたる長期政権の統治に不満を持つ民衆がいることは間違いないだろう。 しかし暴動が起きたという情報から、即座に「革命」といった言葉を使うのは安易に過ぎると言わねばならない。 むろんそれは、政府による民衆のデモンスト