井原慶子さんが「レーサーになりたい」と思ったきっかけは、レースクイーンとしてサーキットを訪れ、現場のニオイ、いや、香りにクラッときたからだった。その頃はまだ運転免許証すら持っていなかった。男性社会に飛び込むようなものだったし、常識的に考えてスタートは遅かった。だが、いきなり世界を目指した。 無理だと決めつけてしまっては、夢を実現することはできない。だから井原さんは「無理」だと思わないことにした。どうすれば目標に近づくことができるか、冷静に分析し、課題を定めてはそれを負けん気で乗り越えて、夢を実現してきた。そんな井原さんに本誌・若林葉子が話を聞いた。 若林 井原さんの著書『崖っぷちの覚悟』を読んで、井原さんのことを勝手に気が強くて負けず嫌いな人だと決めつけています。 井原 気が強くなったのはレースを始めてからだと思います。以前はそうではなかったですね。 若林 というと、子供のころは。 井原