1.繰り返される国連の機能不全 ロシアによるウクライナ侵攻は、世界秩序形成の重要局面で国連が機能しないことを改めて示した。 ウクライナ侵攻開始直後、国連安保理は緊急特別会合を開催し、ロシア非難決議を採択しようとしたが、常任理事国であるロシアが拒否権を発動したため決議を採択できなかった。 それを受けて、3月2日に国連総会の緊急特別会合でロシアのウクライナ侵攻に対して「最も強い言葉で遺憾の意を表す」とする決議を採択した。 日本や米国など141カ国が賛成し、中国、インドなど35カ国が棄権。反対はロシア、北朝鮮など5カ国だけだった。 しかし、総会決議には法的拘束力がないため、これほど多くの国が賛成しても具体的な施策の実施にはつながらない。 この状況に対して、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、国連は機能していないと繰り返し批判した。 国連の機能不全は今に始まったことではない。 ロシア