僕の大好きな人、みのりさんが、チャリティコンサートの招待券をくれた。 みのりさんは、主催者側のスタッフなので、一緒に客席に座れるわけではないけれど、コンサート終了後に、夕食の約束をとりつけることができた。 クラシックのコンサートだ。曲目は、チャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』。 数年前の残念な思い出が、脳裏をよぎる。 当時つきあいはじめたばかりの彼女に誘われて、僕はオペラを観に行った。 「有名な演目ではないけれど、いいかしら?」 と言われ、よくわからないので気にもせず、二つ返事で出掛けていった。 そして、外国人のオペラ歌手が、外国語で知らない歌を歌い、字幕はあったけれど、その日かけていた眼鏡の度が弱かったせいで、僕にはほとんど読めず、舞台でいったい何が繰り広げられているのか見当もつかないまま、眠気と闘い続ける3時間を過ごしたのだった。 どうにか初デートの居眠りは回避できたものの、結局、彼