マルチ商法などの悪徳商法は、どのようにして会員を洗脳しているのか。ライターの雨宮純氏は「まずは運営するシェアハウスに強制的に移住させ、勧誘漬けの生活に。会員の自由な時間を奪い、それまでの人間関係を断ち切る。勧誘生活に慣れたところで、自己啓発セミナーに参加させて価値観を植え付ける。実態は悪徳商法というよりもカルトに近い」という――。(第2回) 50人以上が暮らす一軒家のシェアハウス 引っ越しの手伝いで訪れたシェアハウス。玄関脇の靴入れには外観からは想像できない量の靴が入れられ、収まりきらない靴が床に散らばっていた。傘入れにもおびただしい量の傘が差し込まれ、昼間にもかかわらず室内は薄暗かった。 これは私が悪徳商法集団「環境」を辞めたという会員に誘われ、引っ越しの手伝いをした際に見た実情だ。 「『環境』を脱退したためにシェアハウスから引っ越します。話は付けておきますので、手伝いに来てみませんか」