突然の失業だった。 やってしまったことは、わかってる。 上司の評価も、同僚の人望もあったのに、その全てを投げ捨ててしまった。 いつかは、この衝突は解雇につながることは覚悟していたけれど、あまりにも突然だった。 突然に解雇通知をつきつけられ、誰とも挨拶も出来ず、私物をまとめて会社を去った。 36歳、再就職はあるだろうか。 あの時、あの行動が正しかったのか、考える。 信念を守るためには、必要だった。 会社も自分も、顧客も誰も得をしない。 ただ、自分の信念を曲げたら、自分じゃなくなるのだ。 この失業を、恥じてはいない。 それでも、親や友人には話せないでいる。 お盆を前にして、離職票が届くのを待つ以外にやることなく、マンションで一人、静かに暮らしている。 同僚に遭遇しそうで、最寄り駅には近づきたくない。 会話は、オンライン英会話で話すフィリピン人講師とだけだ。 高校入試の過去問問題を解いてみた。