ショーン・フェイの著書『トランスジェンダー問題 議論は正義のために』は、トランスジェンダー女性であるイギリス人の著者が、トランスジェンダーの人々が社会で経験しているさまざまな困難の実態を、幅広い調査や分析によって明らかにする書籍。イギリスでは2021年に発売され、このたび邦訳が刊行された。 フェイ氏はブリストル出身、ロンドンを拠点に活動するジャーナリストで、過去には『Dazed』の編集長を務めたほか、The Guardian、Independent、Viceなどで執筆活動を行なっている。医療や教育、法律、労働環境など、当事者の人々の生と尊厳に関わる切実な問題が記されている本書において、著者は「私たちは、論争されたり馬鹿にされたりするための『問題(イシュー)』ではない」と綴る。 「日本のトランスジェンダーのために翻訳したかった」という訳者の高井ゆと里氏は、訳者印税を全額投じて当事者らに本書を