「多様性」という言葉がさまざまな場面で使われるようになりました。女性やセクシュアルマイノリティーの声が可視化されるようになったものの、差別は今も残ります。足りていないものは何か、フェミニズム・クィア理論研究者の藤高和輝さんに聞きました。 抑圧される「トラブル」 最近よく「今は多様性の時代」という言葉を耳にします。喜ばしいと捉えている人もいれば、煙たがる人もいます。どちらにしても、私はこの言葉に危うさを感じます。 まるで「時代が変わったからマイノリティーの声を聞かないといけない」かのようです。しかし、当たり前ですが、「時代が変わったから」問題なのではありません。女性やセクシュアルマイノリティーへの差別はこれまでもずっとありましたし、今もあります。もし「時代が変わったから知った」のであれば、「それまで知らなかった」ことが問題です。 学生と接していると、「多様…