訓読 >>> 534 遠妻(とほづま)の ここにしあらねば 玉桙(たまほこ)の 道をた遠(どほ)み 思ふそら 安けなくに 嘆くそら 苦しきものを み空行く 雲にもがも 高飛ぶ 鳥にもがも 明日(あす)行きて 妹(いも)に言問(ことど)ひ 我(あ)がために 妹も事(こと)なく 妹がため 我(あ)れも事なく 今も見るごと たぐひてもがも 535 しきたへの手枕(たまくら)まかず間(あひだ)置きて年そ経(へ)にける逢はなく思へば 要旨 >>> 〈534〉妻は遠くの地にいてここにはいない。妻のいる所への道は遠く、逢う手立てのないまま、妻を思って心が休まらず、嘆くばかりで苦しくてならない。大空を流れ行く雲になりたい、高く飛ぶ鳥になりたい。そうして明日にでも行って妻に話しかけ、私のために妻が咎められることなく、妻のためにこの私も無事でありたい。今でも夢に見るように、互いに寄り添っていたい。 〈535〉
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