#3です。 ほかの方のお礼欄を拝見して、ご質問の趣旨がわかりました。 この部分の解釈、というのは、字義通りの解釈、この部分に何が書いてあるかがお知りになりたいわけではなく、この部分の背後にどのような思想が込められているか、ということなんですね。 『草枕』が何を扱った作品であるかは、#3ですでに書きましたが、漱石はこのなかで、みずからの芸術観を声高に語ろうとはしない。 その姿勢は、第一章にすでにあきらかにされています。 「住みにくき世から、住みにくき煩いを引き抜いて、難有い世界をまのあたりに写すのが詩である、画である」 詩や絵画がそうしたところから「生まれる」のではなく、「写す」、つまり芸術家の目を持って写し出す、創造するのだ、と漱石が考えていたことがわかります。 『草枕』はそれを散文の世界でやろうとした。 漱石がこの世を住みにくいと感じていたのはなぜか。 『漱石とその時代 第三部』で江藤淳