2020年9月30日をもってオタクの電脳ブログはサービス終了いたしました。 長らくの御愛好誠にありがとうございました。
人は子供を持つのが「正しい」。 この、絶対的真理のような強い圧力を持つ固定観念の前に、子供の無い女性は常に屈服させられ、罪悪感と焦燥感を押しつけられながら生きている、と私は思っています。私なんて子供を持つ道を自ら断っているようなタイプなので罪悪感はなおさら。国が少子化対策云々なんて言うたびに「ハイハイ生きててすみません」と反射のようにいちいち思います。もはや子供を産まないで生きていることが政府への反抗のような気がしているほどです。 国や政府という大きな問題を抜きにしても、結婚しているか否かよりも子供がいるか否かで周囲の人との関係性が変わってくるというのは、三、四十代になった女性が多かれ少なかれ感じることです。子供を持つ側、持たない側、お互いが気をつかってなんとなく疎遠になることも多い。 まず酒井順子さんはよくこの問題に踏み込んだものだと思います。酒井さんは結婚していないし、子供もいないけれ
古典的でお堅い名著とされるものが、実際に読んでみると「まるでラノベみたいに(褒め言葉です)波乱万丈でキャラが立ってて純粋に面白いじゃん!」となることはよくあります。 …よくあるのですが、まさか「ルワンダ」とはねえ。いや、実に感服した。感服のあまりまとめた。 また、ファンタジー・SFの中に、以前から「文明を異世界に持ち込んで大活躍!」というジャンルがあるようです。(「文明無双」ものとも言われる?)そういう興味からも、この「総裁日記はラノベ的に読める」という視点は面白く感じました。 (ついでに手前味噌で、そういう話につなげます。) ※あと、ルワンダというと90年代に吹き荒れた民族虐殺のイメージが大きいのですが、この本で書かれているのは、その前の時代です。また、現在は極めて内情が安定、経済成長をしているとのことです
最近の私は、「漫画原作の実写映画」をさらに小説に書き直す、という仕事を連続でやっているわけですが、この「漫画の実写映画化」っていろいろ炎上しがちですよね。 だいたいにおいて「原作からの改変」がまずやり玉に上がり、「原作レイプ」とか「金儲け」とか言われるわけですが、その辺の話を最近いろいろと考えております。だいぶ前に、私と同じように映画や漫画のノベライズをよくされてる作家さんとも話をしたのですが、そのメモ的な意味で、あるいは自分の立ち位置や考え方の表明として、ちょっとまとめておこうかなと思います。 すごい長文なので以下は畳みます。読む人は覚悟してどうぞ。 ○二次元に感情移入出来るのは「特殊技能」である あのですね、まず前提として、世の中には「文章や絵には全く感情移入出来ない」という人たちがかなりの割合で存在するんですよ。っていうか、むしろそっちが多数派かもしれないんですよ。 漫画とか小説と
漫画を評価する言葉といえば、「緻密な世界観」「圧倒的な描写力」「魅力的なキャラ造型」などが常套句だが、ネットで散見される『東京タラレバ娘』の感想はちょっと違う。 「破壊力がやばい!」「殺傷能力高すぎ!」「阿鼻叫喚!」など、ほとんど殺鼠剤かアサルトライフルのレビューにしか使われないようなボキャブラリーが並んでいるのだ(アサルトライフルのレビューなんて読んだことないけど)。 仮に、アラサー独身女性が密室で変死体となって見つかり、手に『東京タラレバ娘』が握られていたら、自殺でも他殺でもない「書殺」として、この本が凶器として押収されることだろう。 よくわからない喩えをしてしまったが、とにかくそれほどまでに今、読んだ女性を次々と「痛い!」「刺さる!」「死ぬ!」と半狂乱に陥れている漫画が本作なのだ。しかし、その「!」の部分に、どこか嬉々としたテンションの高さを感じるのは私だけだろうか。 アラサー女性の
エミリー・マッチャー『ハウスワイフ2.0』森嶋マリ訳(文藝春秋、2014)を読んだ。 ハウスワイフ2.0posted with amazlet at 14.10.17エミリー マッチャー 文藝春秋 売り上げランキング: 4,683 Amazon.co.jpで詳細を見る アメリカにおける、高学歴女性・キャリアのある女性の家庭回帰を扱ったルポである。最近、学歴あるミドルクラスあたりの女性が仕事を辞めて専業主婦になったり、農家になったり、家庭で小さいビジネスをやったりする傾向があり、これについていろいろ取材したい、というのがテーマだ。 とはいえ、これはかなり一筋縄ではいかない本である。いかにも「ハウスワイフ2.0」という言葉から想像しやすいような、外であくせく働くのに疲れたミドルクラスで、家で料理や農業や子育てを満喫し、手芸で小金を稼ぎつつその様子をブログにアップ…みたいな穏健な女性だけではなく
2014-07-24 菅原孝標女さんのお言葉の詳細の話 昨日の記事が400ブクマ越えしてちょっと嬉しい限りですが、意外な反応に驚いています。 ちなみにそんな源氏物語の大ファンだった菅原孝標女さんは「二次元にのめり込んで青春時代に勉強も婚活もしないでいたら、人生後半めっちゃ空しい」と『更級日記』で語っております。現実は、見ておきましょうという千年前からのありがたいお言葉です。(光源氏はロリコンじゃないと言う話 - 価値のない話) この話を〆る部分にいろんな方が注目してくださったようなので、いくらなんでもこれだけでは身もふたもないので「どうしてそういうことになったのか」をまたゆるーく話します。今日の記事もあくまでも昨日の話などで興味をもった方対象です。学問的に断言したり論じたりそういうことではありません。更に興味がわいた方はご自分で調べられるとよろしいでしょう。 菅原孝標女さんとは? 高校の教
前回のエントリ[「最近の若者は本を読まない」本当の理由]では、沢山の意見を頂いた。賛否いずれも、感謝感謝。賛成は嬉しいが、反論はありがたい。わたしの論拠の不備があらわになったから。愉快なのは米光さんの[「最近の若者は本を読まない」本当の理由の本当の理由]。いかにも最近のオヤヂが言いそうでしょ? ■各時代の若者の読書率 いただいた反論のうち、かなりの説得力をもつのがあった。コレだ。 オヤヂどもは、今こそ本読んでないかもしれないけれど、若かりし頃は、イマドキの若者よりも、もっと読んでいたんじゃぁないの?若年世代を定点観測した比較結果でないと意味がないんじゃないか? ああ確かに。だからこの週末に調べてみた、「最近の若者は本を読まない」と嘆くオヤヂ連中が、若かった頃はどうだったかを。 「若者」は20~30代、「オヤヂ」はそれにプラス30しておこうか。それから調査上、「本」とはマンガや雑誌以外の書籍
最初にお断りしておく。このレビューを読んで多くの人が「自分のことか?」と怯えるだろう。まだ見世物的に報じられる日本のゴミ屋敷だが、「強迫性貯蔵症」(ホーディング)の実態は明らかにされていない。自分ひとりで悩んでいる人も多いかもしれない。事実、自分に置き換えると、少々悩ましいことでもある。 仕事柄、身の回りに本を置くことは多い。しかしふと気が付くと、仕事場のパソコンまわりに大量の本が積み上がっている。ざっと数えても百冊近くある。年末の大掃除でだいぶ古本屋に持っていたのだが、いつの間にこんなに増えてしまうのだろう。毎日の習慣で、朝刊の広告で新刊をチェックし、買い物に出るときに書店で手に入れる。そんなことが続いているのだから当たり前といえば当たり前のことだ。 世間で“シンプルライフ”や“断捨離”が持てはやされるのと対照的に「ゴミ屋敷」や「汚部屋」が問題視されている。なんでもかんでも溜め込み、人の
〈起業〉という幻想 ─ アメリカン・ドリームの現実 作者: スコット A シェーン,谷口功一,中野剛志,柴山桂太出版社/メーカー: 白水社発売日: 2011/09/27メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 194回この商品を含むブログ (6件) を見る 会社に雇われ給与所得を得ることで日々の生計を営む凡人にとって、「起業」という言葉は、なんて甘美なものなのだろうか。企業家についてイメージするのは、つい先日故人となったAppleのスティブ・ジョブス、世界一の資産家ビル・ゲイツ、グーグルのセルゲイ・ブリンにフォーブス400にランキングしたFace bookのマーク・ザッカーバーグといったところだろうか。アメリカは経済格差も大きいが、リスクに対する投資意欲が旺盛な世界でも最大の起業大国である。という前提は、起業というキーワードの背景においての絶対神話である。本書の著者は、その絶対神話の根
突然だけど、夏は女性が薄着になるので素晴らしい。ついつい「ああ、あの脚でゾンビにハイキックをかましたらさぞかし絵になるだろうなあ」と考えてしまう。ということで夏はヒロインがゾンビと戦う季節。そんな文庫本を5冊紹介します。 『バイオハザード』(牧野修/角川ホラー文庫) アメリカ中西部の工業都市ラクーン・シティにある巨大企業アンブレラ・コーポレーションの秘密研究所“蜂の巣”で、開発中のウイルスが漏洩する事件が発生。500名を超える研究員が犠牲となる。その直後に古風な洋館で目覚めたアリスは、自分が記憶を失っていることに気付く。突然侵入してきた特殊部隊と共に“蜂の巣”に潜入するアリスを待ち受けるのは、変わり果てた研究員たちと恐ろしい生物兵器だった……。 のっけからゲーム原作の映画のノベライズだけど、正統派ヒロインアクションとして外せなかった。映画ではミラ・ジョヴォヴィッチ演じるアリスが長い手足を華
いま話題のエントリー。 502 Bad Gateway 「10代で読んでいないと恥ずかしい必読書」として、難解な哲学書をずらずらと(Amazonのリンクとレビューの抜粋つきで)挙げていくエントリーです。 で、これに対して「10代でそんな本なんか読むわけねーだろ」とか「恥ずかしいとか恥ずかしくないとかで読書するのは楽しくない」というツッコミが多く寄せられているようですが、このエントリーは、もともと2ちゃんねる(http://lifehack2ch.livedoor.biz/archives/51014880.html)にネタとして書き込まれていた難書の数々が、別のスレに「一般教養」としてネタでコピペされていた(http://blog.livedoor.jp/darkm/archives/51076121.html)のを、管理人氏が「ではどういう本なのか」と書き出したものなんですね。なので、こ
自己啓発の女王とも呼ばれたカリスマ勝間和代がAmazonのレビュー・システムについてクレームをつけていた。僕自身は勝間和代のファンでもなければ、勝間和代がいうところの「アンチ」でもない。勝間和代は外資系企業でサラリーマンをしていて、その後はネットで人気になり、一気にテレビでもブレークした。少なくとも最初のふたつに関しては僕と多少なりとも共通点があるので、僕は彼女の著作や活動をたまにフォローしていた。そして今日たまたま読んだ勝間和代のブログに書いてあったAmazon批判について、僕は少なからぬ違和感を感じた。それはちょっとちがうんじゃないかな、と思った。だから今日はそのことについて何かを書いてみようと思う。よく冷えたコロナビールを飲みながらね。 1. 著者の知名度が広がるにつれて、必ず「アンチ」が生まれます。 その人たちは、あまりにも対象の存在自体が不愉快なので、自身の心の平穏を保つため、ス
⇒はてなブックマーク - 10代で読んでいないと恥ずかしい必読書 - その1 - PictorialConnect ⇒10代で読んでいないと恥ずかしい必読書 - その1 - PictorialConnect とかいいながら、けっこうこれらは私は10代で読んだな。背伸びしたいころであった。 プラトン『国家』 これは存外に面白い本なんだが、いろいろと手順みたいのが必要なんで、「プラトン入門 (ちくま新書): 竹田 青嗣」を先にきちんと読んでおいたほうがいい。 アリストテレス『ニコマコス倫理学』 れいのサンデル先生というかコミュニタリアンで再評価されつつある。現代的な文脈でいうなら、サンデル先生の説明をきちんと理解するだけでよいと思うよ。 ⇒[書評]これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学(マイケル・サンデル): 極東ブログ ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』 これ1
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