仏教徒が国民の9割以上を占めるタイ。僧侶は人々から尊敬されているが、最近、肥満に悩む僧侶が急激に増えている。 バンコク近郊にある寺院の僧侶、パイラットさん41歳。朝のたく鉢に出ると、次々とお布施の食べ物が差し出される。かつては質素な家庭料理が中心だったが、暮らしが豊かになり、お菓子や屋台の肉料理などカロリーの高いものが増えいる。 集まった物はすべて食べるのが原則だが、とても食べきれる量ではない。可能な限り食べ続けた結果、パイラットさんは13年で50キロも太ってしまった。最近は高血圧と糖尿病にも悩まされている。「食べないと“料理がおいしくなかったんだ”と信者もがっかりするので、たくさん食べるしかないんです」とパイラットさんは話す。 週末には、さらに大量の食事が待ち受けている。大勢の信者が、肉や揚げ物などたくさんの料理を寺院に持ち寄る。僧侶が食べることで、亡くなった先祖や家族が食べたことになる