名古屋市と豊田市を会場に行われている芸術祭・あいちトリエンナーレの一企画「表現の不自由展・その後」がわずか3日で中止に追い込まれ、「検閲だ」との批判があがっている。 この事件が検閲に当たるかはともかく、名古屋では、戦前にも歴史的に重要な「検閲事件」が起きている。にもかかわらず、このことはほとんど知られず、今回も言及されていない。では、それはいかなる事件だったのか。そしてどのような影響を後世に与えたのか。その知られざる歴史をここに紹介したい。 マイナーゆえの悪ノリ 舞台となったのは、アサヒ蓄音器商会(以下、アサヒ)というレコード会社である。 同社は、名古屋圏最大のコンツェルンであった神野財閥の新事業として、1925年に設立された(前身の大和蓄音器商会は1923年設立)。首都圏・関西圏以外では、唯一存在したレコード会社だった。 本社は名古屋市東区に置かれ、ありし日には、市電を降りると「ツル印レ
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