※「うたの日」に書いた選評をサルベージしてみます。ブラウザにベタ書きしていたので。初出になかった改行を加えたり、誤字を訂正したりはしています。 冷たさをたぐれば灯る電球と人差し指のどちらかが過去 /水没 暗闇の中で灯る電球と、そのスイッチをいれた人差し指、と読みました(あるいは「電球」そのものが象徴または隠喩なのかもしれません)。「たぐる」ものと言えば紐、と連想しますが、〈冷たさ〉という抽象的かつ身体感覚をともなった名詞で言い換えることで、〈どちらかが過去〉という飛躍(「灯る」いま、からみて「過去」にほんの少し取り残されているなにかがある、という感覚)に違和感なく(わかりにくさはありますが、そこは魅力的です)つながっていると感じました。 (2017年9月19日『過』)