葛尾村野行行政区の自宅跡地で草木の剪定作業に汗を流す半沢さん。周囲には未除染の山林が広がる=10月15日 葛尾村野行(のゆき)行政区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の周辺には広大な山林が広がる。木々が生い茂り、澄んだ空気が吹き抜ける。豊かな自然は長い間、住民の暮らしに密着していた。拠点内に自宅があった元葛尾村職員の半沢富二雄さん(67)は、幼いころから家族や友人と山菜やキノコを収穫し、山の幸を楽しんだ。 野行行政区を囲む山林は、東京電力福島第一原発事故により放射性物質で汚染された。環境省は二〇一八(平成三十)年に拠点内の除染を開始。草木の刈り取りや落ち葉の除去、建物の解体を進め、年内には完了する見通しとなっている。 一方、山林の除染は手つかずのままだ。拠点外の除染対象は復興拠点に通じる道路や、その両側最大二十メートル内に含まれる土地や建物などに限られる。村は拠点外の除染を国に求めているが